小児喘息について

 
  喘息は「発作性に始まる咳、喘鳴、呼吸困難を繰り返して起こす病気」とされています。
  しかし3才以下の子どもではカゼをひくとゼーゼーする事はよくありますし、時期を過ぎるとしなくなることも多くあるのです。そのため医師の側でも「喘息様(性)気管支炎」といった病名をつけてなかなか喘息と診断しない傾向もあります。
 お子さんがカゼをひいた時“ぜーぜー”したら(息を吐くときに主に聞こえます)、呼吸の状態をみて下さい。胸とお腹の境目、のど元がぺこぺこ凹む(陥没呼吸)、息を吸うときに鼻の穴が広がる(鼻翼呼吸)、横になっているより身体を起こした方が楽になる(起坐呼吸)、これらはいずれも呼吸が苦しいことを示しています。そしてこの順に程度が強くなっているということなのです。

  吐く、お腹を痛がるといった腹部症状を伴ったり、夜眠れない子も多くなります。強い呼吸困難を伴わなくてもぜーぜーを繰り返す場合はもちろんのことですが、初めてぜーぜーした場合でもこのような呼吸困難の症状を伴う場合は喘息の可能性がありますので検査を受けることをお勧めします。
  ぜーぜーを伴わなくても痰の絡んだ咳が長く続き、特に夜間の症状が強い場合もアレルギー検査をすると陽性で、喘息に使うお薬がよく効く場合があります。喘息と診断する検査はありませんが小児喘息においてはアレルギー体質を持つタイプが圧倒的に多いので(成人の喘息では6割程度)、IgEというアレルギーの抗体の総量、チリダニや家塵(乳児では卵白や牛乳)に対するIgE抗体、好酸球というアレルギーに関係する白血球の数値を調べ、前回も述べました家系にアレルギー性疾患を持つ人がいないか、乳児期に湿疹がなかったかということとあわせて診断の参考としています。
 小児喘息の60数%は3歳以前に発症すると言われています。喘息というのは気管支壁でアレルギー性炎症が持続的におきている状態です。乳幼児期にその炎症を抑えることがその後の経過に大きく影響する可能性があるので早めに診断し、治療することはは非常に重要だと思っています。

小児喘息の治療

  
 喘息の治療は発作時の治療と発作を予防する治療の2つに分けられます。
 喘息発作は命にかかわる危険な発作もあり速やかな治療が大変に重要です。それほど重くない発作でも早く楽にしてあげたいというのが御両親の願いでしょう。喘息発作は夜に悪化することが多いので、あらかじめ発作時の飲み薬や吸入薬、貼り薬などをもらっておくと良いでしょう。それらの薬を使っても、苦しくて眠れない、食べ物を受け付けないといった症状が続く場合にはすみやかに受診する必要があります。
 何度も発作をおこす場合には発作を治すだけではなく予防する治療が必要になります。
  喘息の治療には“アレルギー性炎症”を抑えることが重要で、成人では炎症を抑える作用が最も強力な吸入ステロイド薬が主な治療法です。吸入ステロイド薬は副作用を心配される方も多いのですが、小児での安全性も認められ、日本小児アレルギー学会の小児喘息治療ガイドラインでも年長児の喘息治療には早期からの吸入ステロイド薬使用が推奨されています。
  ステロイド以外にはインタール吸入薬やロイコトリエン拮抗薬(オノン、シングレア、キプレス)、テオフィリン製剤(テオドール、テオロングなど)が発作予防に用いられます。これらの予防薬の中からそれぞれの子にあった薬剤を選択し、時には組み合わせて使います。
  発作時に用いられる吸入薬(ベネトリン、メプチンなど)は一時的に呼吸を楽にする効果はありますが、炎症を抑える作用はないので発作が多いときは必ず予防薬と併用します。
  日常生活の注意点としては、ほとんどの喘息児はハウスダスト、チリダニにアレルギー反応をもっていますので日常の掃除などダニ対策が大変重要です。しかし多くの場合、高価な防ダニ寝具や器具を買いそろえる必要はありません。毎日の服薬や発作の状態を記録する喘息日誌も、より良い治療法の選択や生活指導を行う上で欠かせません。
 適切な予防治療を継続することにより喘息のこども達の多くは健康児と何ら違いのない生活を送れるようなります。発作のない状態を維持することが“喘息を治す”ことにもつながるのです。
Copyright(C) 2006 Watanabe-Inc. All Right Reserved.